10月の三連休は、野鳥観察をしたり自然観察をするのにもってこいの時期ですから、以前からどこへ出掛けようかと思案していました。私なりに、候補地を3か所ほどに絞っていましたが、直前まで決めかねていました。最終的に戸隠へ行けば、森林植物園で野鳥と自然観察が楽しめるほか、未踏の戸隠山へ登ってくる楽しみもありますから、ここに決めました。三連休の初日は、園内で自然観察を楽しんできましたが、二日目は朝食を済ませてから戸隠山の山登りに挑戦してきました。
これは、「森林学習館もりのまなびや」のすぐ脇から、みどりが池越しに険しい岩山が続く、戸隠連山の山並みを撮影したものです。一番左端が戸隠山(標高1,904m)で、右側の少し高くなっているところが九頭竜山(標高1,883m)です。この山並みを歩いてきたわけですが、この険しい山並みをよく歩いてきたものだと、我ながら感心しています。
少し離れてその右奥に見える山は、五地蔵山(標高1,998m)になると思われます。
戸隠山へ登るには幾つか登山道がありますが、戸隠神社の奥社から続く登山道を登るのが、一般的なコースのようです。駐車場のある奥社入口から入って、参道に沿って1kmほど歩みを進めると、この朱塗りの隋神門が見えてきました。
隋神門を過ぎると、奥社への参道はこのような杉並木へと変わります。とても太い杉の木が林立している、これだけでも何かありそうな厳かな雰囲気です。
石段を登った鳥居の奥にある建物が、戸隠神社の奥社になります。ここに参拝して、登山の安全を祈願してきましたが、その奥に見える岩山が戸隠連山です。厳しい山行が予想される山容です。登山カードに記入してから、山道に取り付きました。
登山道に取り付くと、間もなくこの険しい山並みが目に入ってきました。戸隠山は、とても険しい岩山であるという事前情報はありましたが、実際、このような岩山の姿を見ると、先行きに緊張感が募ってきます。
この写真は、岩壁の下に穿たれた登山道ですが、百間長屋という名前が付けられています。実は、この下に五十間長屋という場所があって、小休止をとってきましたが、百間長屋は通り越してから振り返って撮影しました。
戸隠山は、とても険しい岩山であるということは、事前に情報を収集して分かっていましたが、実際に登ってみると、本当に鎖場の連続でした。
ここは、垂直に登った後、鎖を伝って横にトラバースし、また垂直に近い登りが続く難コースです。
戸隠山は、黄葉や紅葉で色づいています。この写真の右下に、急斜面に取り付く登山者の姿が映っていますが、左上のあの峰の頂まで登らないと、次の難関である蟻の塔渡しに進むことができません。ここは、厳しい岩肌をひたすらよじ登ることになりますが、頑張って進みます。
厳しい岩山の登りの途中で、本院岳(標高2,030m)から西岳(標高2,053m)方向を望むことができました。こちらもかなり厳しい山並みが続いています。
厳しい岩山への登攀途中で、振り返って見ると、昇り始めた朝日に霞むように、怪無山(けなしやま:標高1,549m)、瑪瑙山(めのおやま:標高1,748m)に続く、飯綱山(標高1,917m)の穏やかな山並みが見えました。向こうの山の方が、遥かに登りやすいように見えます。
有名な蟻の塔渡しに至る直前の山肌を登る鎖場です。ほとんど垂直に近い山肌を登りますから、三点支持で登攀するといった余裕はありません。鎖をしっかりと握って、自分の脚力を信じてひたすら登り切りました。
実は、この直前に5cmほどの落石が顔に当たり、出血するというアクシデントが発生しました。幸い大したことなく、救急テープでしのぐことができましたが、このような岩稜では足元ばかりではなく、上も注意しなければなりません。
ここが、戸隠山を登る途中の一番の難所である、「蟻の塔渡し」です。
切り立った尾根の幅は50cmほどしかありません。一番狭いところでは、20cmほどしかなかったと思います。三点支持で四つん這いになって渡りきるといわれていましたが、私はその高度感に耐えきれず、尾根に跨っていざる様に渡り切りました。
蟻の塔渡しに四苦八苦しながら何とか渡り切って、よじ登ったこの場所は、八方睨みと呼ばれる峰の頂です。この場所に設置された表示板越しに、西岳(標高2,053m)から第一峰(標高1,989m)方向を撮影してみました。
八方睨みから戸隠山へ向かう途中に、振り返ってみると、先程渡り切るのに大変往生した、蟻の塔渡しの切り立った岩稜が望めました。渡っている途中では、怖くて下を見ることも出来ませんでした。こうしてその全景を眺めると、よく渡ることができたものだと、我ながら感心してしまいます。滑り落ちたら、ひとたまりもありませんね。
やっと戸隠山の山頂に登頂することができました。思った以上に疲れる行程でした。まだ予定コースの半分も来ていませんから、先が思いやられますが、ここまで登り切ることができて、それなりに達成感を味わいながら、記念写真のシャッターを押して貰いました。
戸隠山の山頂からは、その奥に聳える高妻山(標高2,353m)が良く見えます。元気な人は、戸隠山から縦走して一日で両方登ってしまう人もいるようですが、今の私にはちょっと無理ですね。ここから、九頭竜山(標高1,883m)を経由して、一不動から戸隠牧場へと下ります。
これから進む九頭竜山(標高1,883m)方向を撮影したものですが、険しい岩稜であることが伺える山容です。遥か向こうの左奥に見える山並みは、黒姫山(標高2,053m)になります。
こちらは、振り返って西岳(標高2,053m)から第一峰(標高1,989m)方向を撮影したものです。手前の左側に見える台形の峰が、先ほど登ってきた八方睨みになります。
ここからは、稜線の上を辿りながら一不動避難小屋を目指し、下山路へ取り付くことになりますが、その途中で、戸隠神社奥社とそこに続く杉並木が上から俯瞰できました。
九頭竜山(標高1,883m)の山頂は予想外に狭い場所でしたが、そこで昼食をとることにしました。10人近くの登山者が腰を下ろすといっぱいのような場所です。食事を済ませてさらに稜線を先へ進むと、白馬岳とそれに続く北アルプスの山並みが見えました。今年の夏はあの山の上を縦走してきたんだなと、懐かしく思い出しながら写真に収めてきました。
稜線上で何度かアップダウンを繰り返しながら、一不動避難小屋に到着です。ここまで来れば、後は戸隠牧場へ向けて下るだけです。予想以上に険しい山でしたから、避難小屋が見えたときには、ほっとしました。
ここが今日のコースの中で唯一の水場です。氷清水と名前が付けられていました。茶碗も置いてありましたから、美味しい水を一杯飲もうと思います。でも、水の出が少なくて、本当にチョロチョロとしか流れていません。茶碗に半分も溜まらないうちに、待ちきれずに飲み干してしまいました。
山容の険しい戸隠山は、最後まで気を抜かせてくれません。下りの山道も鎖場の連続でした。ここは、斜めになった岩肌をトラバースするように横切らなければなりませんから、とても歩きにくい場所でした。
滝のように流れ下るすぐ脇の岩肌が登山道です。手掛かりが何もありませんから、鎖がなければ通過できません。
岩肌が濡れていなかったので、滑らずに下ることができました。
やっと下ってきました。ここが戸隠牧場です。あの険しい山並みを、無事に歩き通すことができましたから、とても疲れましたが、ここまで来れば安心して、足取りも軽くなりました。
この後は、戸隠神告げ温泉湯行館(600円)に浸かって、疲れを癒してきました。気持ち良かったですよ〜 ^o^