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赤岳天望荘から美濃戸へ@八ヶ岳

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お早うございます。昨日からのガスに巻かれた強風は、今朝も変わらず続いています。ここ10日ほどずっとこんな天候が続いているそうです。昨夜泊まった赤岳天望荘には、天水を集めた五右衛門風呂がありました。ここで汗を流して、今朝はスッキリと言いたいところですが、少し頭が痛いです。昨夜、皆で盛り上がって飲み過ぎたのか、高山病の症状が出たのか.......。でも、山荘の食事は夜も朝もバイキングで、コーヒー飲み放題だったのが良かったです。
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今朝の出発は午前7時ですから、朝食後ゆっくりくつろげました。天気の様子を確認しようと外に出てみると、なんと西側の斜面にウルップソウが群生しているではありませんか。昨日、到着した時は、強風と雨から逃れるように山荘に飛び込みましたから、全く気がつきませんでした。
事前の情報で、ウルップソウは硫黄岳に咲いているという事でしたから、ここで見られるとは思ってもいませんでした。早速、カメラを持ち出して撮影です。登山道脇には、群生地に踏み込まないようにロープが張られ、近くに寄れませんから、望遠レンズに付け替えて撮影しました。
しかし、相変わらずの強風でブレブレの写真ばかりです。何枚か撮影しているうちに、雨具を着ていても寒くなってきたので、早々に山荘内へ戻りました。外気温は10度以下ですが、強風のため体感気温は5度くらいだったと思います。この日、都内は梅雨が明けて、35度を越える猛暑となったというのがウソのようです。
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今日のコースは、赤岳天望荘→横岳→硫黄岳→赤岳鉱泉→美濃戸へ下る予定で歩きます。山荘を出発すると、すぐに行者小屋へと続く、地蔵尾根との分岐の地蔵ノ頭に着きました。たまたまこの日は、この地蔵様の祭事があるということで、赤い雨具を着ている女性が神主さんだそうです。祭事の準備を始めたところですが、同行してきた方から、日本一美しい女性の神主であるとの話を聞きました。
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山荘を出てからここまでずっとガスの中で、景色は全く見えなかったのですが、急に晴れ間が覗きました。青空が見えます。そして、前方にはすごい岩峰が....撮影したときには分からなかったのですが、後から確認してみるとどうやらこれが二十三夜峰になるようです。次の目標である横岳は、あの岩峰を越えたその向こうにあるはずです。
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ガスが晴れると、遥か下のほうに茅野の市街が見渡せました。でも、これが見えたのはほんの短い間だけでした。山の上はガスと強風のひどい天候ですが、きっと下界は晴れているんだろうなと思います。
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二十三夜峰に取り付くと、何箇所かで両手両足を使った登攀を余儀なくされました。でも、そんな険しい岩峰でも可憐なミヤマオダマキが出迎えてくれました。ありがとう、ここでカメラを構えて小休止です。
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人が一人やっと通れるほどの狭い尾根道の急登をよじ登ると、すぐ脇の岩壁の前に紫色の少し大きめな花穂が目に付きました。こんなところにハクサンチドリが咲いていました。今までハクサンチドリを見たのは、標高の高い草原のような場所がほとんどでしたから、こんな岩峰に咲いているのにちょっと驚きました。
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尾根道のガスは、一向に晴れる気配がなかったのですが、二十三夜峰を過ぎて間もなくのところで再び少し薄くなってくれました。周囲の景色を撮影するチャンスです。白一色の霧の向こうにかすかに姿を見せた岩峰を、慌てて撮影しました。撮影した場所を地図で確認すると、「ルンゼの一枚岩」と呼ばれているあたりになると思います。
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強風は相変わらずで、むしろ次第に強くなっているような感じです。尾根上の岩を乗り越えるときなど、ちょっと危険を感じるような状況になってきました。細い尾根道も要注意です。周囲の景色は全く見えませんが、所々で出迎えてくれる高山植物が気持ちを和らげてくれます。この岩壁にはツガザクラが群生していました。とても厳しい環境ですが、みんなで寄り添って花を咲かせているようでした。
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さて、こちらは花は咲いていませんが、蕾がかなり膨らんできています。これも写真だけ撮影しておいて、後から調べてみると葉のつき方から、濃いピンク色の花を咲かせるタカネイバラであるようです。
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縦走路の随所でこの青紫色の花が目に付きました。マメ科の高山植物であるオヤマノエンドウです。
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ガスで周囲は真っ白ですが、足元の岩だらけの縦走路だけを見ながら歩いていると、所々に咲いているミヤマシオガマのピンク色の花がよく目に付きます。
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縦走路の少し開けた場所で小休止となりました。ザックを下ろして、周囲の高山植物の撮影開始です。これは、岩陰で強風を避けるように咲いていたハクサンイチゲです。
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休憩場所から深く切れ込んだ谷底を覗き込むと、急斜面の崖にウルップソウの大群落が広がっていました。上から撮影しているので、そんなに急な感じには見えませんが、この斜面を下るのは恐怖です。また、かなりガスっていますから、写真ではうまく再現できないのが残念です。
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前のほうから「コマクサが咲いているよ。」と声が掛かりました。急いで声の方向へ向かうと、岩陰に雨粒をたくさんつけたコマクサが蕾を膨らませて、今まさに花開こうとしていました。この辺のコマクサの花期は7月中旬以降ですから、今回は期待していませんでした。それだけに、とても嬉しい発見となりました。
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縦走路の大きな岩の全面を、チョウノスケソウの大群落が覆い隠していました。
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ほどなく、横岳(標高2,829メートル)山頂に到着しました。ちょっとあっ気ない感じでしたが、そんなに広くない山頂に標識が立っています.....と言っても、かなり横に傾いています。まさか、横岳だからこんな状態にしているわけじゃないですよね (^^;;
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横岳の山頂直下の岩陰で、とても小さくて黄色い花を見つけました。ミヤマダイコンソウです。
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これも、横岳の直下で見つけた岩陰に群生するクモマナズナです。当初、ウメハタザオと紹介しましたが、訂正しておきます。
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太いひげのような葉をたくさん伸ばしたイワヒゲが、垂直の岩肌の隙間にへばり付くように花を咲かせていました。
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大きな岩の上にちょこんと乗っかるように固まって咲いていた、イワカガミの小群落です。
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縦走路の脇に、ロープで保護されたコマクサの繁殖地がありました。地面は溶岩のような石がゴロゴロしています。ほとんどはまだ蕾も膨らんでいませんでしたが、ピンク色ばかりのコマクサの中で、黄白色の蕾を膨らませていたコマクサがありました。シロバナコマクサになるようです。
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コマクサの群生地には、こんな黄色いスミレの仲間も咲いていました。タカネスミレでしょうか、キバナノコマノツメでしょうか?
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相変わらず強風が吹き荒れ、まともに歩く事が困難な状況です。風の来る方向に体を傾けながら歩きますが、どうしてヨロケてしまって、真っ直ぐ進めません。「もう間も無く硫黄岳山荘だよ。」との声が聞こえて来ましたが、濃霧の中ではどこにあるのか全く分かりません。やっとそれらしい姿がぼんやり確認出来たのは、ほんの2〜30m手前でした。小屋の前で撮影しても、この程度にしか写りません。
とにかく中に入って休ませてもらいましょう。中はストーブが焚かれ、暖かく迎え入れてくれました。
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小屋の中で腰を下ろし、おやつと飲み物で休憩をとった後、いよいよ最後のピークである硫黄岳に向けて出発です。途中にこんなケルンが7ヶ所にあって、ガスの中で我々を導いてくれました。ケルンがなければ、どこを登っているのかも分かりません。
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爆裂火口の脇を通過して、硫黄岳山頂(標高2,760m)に到着しました。爆裂火口は標高差600m近くもある断崖になっているようですが、このガスの中では何も見えないし、第一この強風の中、近づくのは大変危険です。山頂は、テニスコートが何面も取れそうなくらいの広さがありました。ここでも全員で記念写真を撮りましたが、濃霧と雨でまともに写っていません。
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硫黄岳山頂を後に、赤岳鉱泉への道を進みます。ムシトリスミレがあったのは、山頂から少し下ったところです。天候のせいにするつもりはありませんが、何故かこんな写真しか撮れませんでした。
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ここは赤岩の頭です。右へ行けば峰の松目方面ですが、我々は左にコースをとって、赤岳鉱泉へと下ります。
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森林限界を通過して、樹林帯に入って来ました。風は弱まってきましたが、相変わらず小雨が降っています。登山道脇の草むらに、白い花が咲いていました。コガネイチゴですが、この花の名前がなかなか分からずに調べるのに苦労しました。
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こちらはバイケイソウです。登山道の脇に生えていました。同じ仲間のコバイケイソウは白くて立派な花穂を付けますが、このバイケイソウの花はとても地味です。
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標高が下がるにつれて、次第に天候も回復してきました。今まで着ていた雨具を脱ぐために小休止しましたが、そこでこのミヤマキンポウゲを見つけました。
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だいぶ下ってきましたが、山道のあちらこちらに、このオサバグサが咲いていました。それにしても、独特の花姿をしています。
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これが赤岳鉱泉です。我々は、ここでお昼を摂りました。レンズが濡れていて、一部にソフトフォーカスが掛っています。
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これは、2~30cmほどもある大きな葉の上に、鋭い棘をたくさん立てていたハリブキです。初めて見ましたが、教えてもらわなければ気が付きませんでした。ウコギ科に属するとのことです。
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赤岳鉱泉を後にして、我々は美濃戸山荘に向けて北沢に沿った、長い道のりを下っていきます。途中で出会った渓流は、水量が豊富で、轟々と流れ落ちていました。
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草むらに白い花を穂垂れていたのは、タデ科のムカゴトラノオと思います。
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このあたりの渓流は、傾斜が少しゆるくなっていますが、それでも水の流れはかなり速かったように思います。
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これはマタタビの花です。私は初めて見ます。枝の上部につく葉が白くなるから、マタタビであることはすぐに分かりましたが、こんな花が咲くとは知りませんでした。
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美濃戸山荘まではもう少しです。我々の八ヶ岳縦走は間もなく無事に終了となりますが、ここで見事なハクサンシャクナゲの花を撮影することができました。
by coffeeto2 | 2013-07-10 20:12 | その他
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