山野草がたくさん見られる山に登ろうとこの日選んだのが、秩父の芦ヶ久保駅から山の花道を経由して日向山に登り、県民の森から丸山を目指した後、大野峠を経由して芦ヶ久保駅に戻るコースでした。丸山でお昼を食べようと思っていたのですが、山の花道で山野草の撮影に思った以上の時間をとられ、全体の3分の1を終えたところで、もうお昼を摂る時間となってしまいました。
この日の天気予報では、夕方から雨模様となっていましたが、これまでは日も差す良いお天気に恵まれていましたが、お昼を食べてからはどんよりとした天候になってしまいました。
「木の子茶屋」を過ぎて、この標識のあるところから、いよいよ丸山への登山道に取り掛かります。
登山道を歩き始めて、間もなくこのスミレが目に留まりました。ちょっと薄暗い林床にあったことと曇り空の影響で、花弁の色は少し青みがかっていますが、アケボノスミレになると思われます。
花の咲く今の時期に、葉はまだ十分に展開していません。距は丸くて太い形状をしているところがアケボノスミレの特徴です。
丸山を目指していた途中にあった標識です。
薄暗い登山道は殺風景でしたが、僅かにこのキケマンが彩りを添えていました。
スギ林を縫うように続くこんな山道を進みます。
かなり登ってきたところで、こんなスミレの花を見つけました。白っぽい花弁ですが、青っぽいピンク色の条線が目立ちます。距はちょっと太めであるところと、葉が切れ込みのある独特の形をしているところから、エイザンスミレであることが分かりました。
県民の森の散策路を横切るように、丸山へ続く登山道は左側の階段状の山道を辿ります。
県民の森の中にあった案内図です。
これは、丸山へ続く尾根道の途中にあったスミレの仲間ですが、花弁の色はかなり濃いピンク色をしています。葉の裏側は紫色がかっていますが、残念ながら種類を特定することができません。
曇よりした空からパラパラと雨が降ってきました。かなり気温が下がっていますから、心なしか白いものが混じっているように感じます。
やっと丸山(標高960m)山頂に辿り着きました。
丸山の山頂には、こんなコンクリート製の展望台がありました。この頃には、かなり雨脚が強くなってきましたから、展望台の中に入って雨具を装着しました。
展望台の上から見た風景ですが、遠望は全く利きません。360度の展望が利く場所であるはずですが、この天候では致し方ありません。
丸山の山頂では、瞬く間に雨が雪に変わり、すっかり冬の様相となってしまいました。かなり冷え込んでいましたが、雨具を着込むとかなり暖かく感じました。でも、天候が悪化する前に下山しようと大野峠方向へ進むと、こんな電波塔がありました。
大野峠方向に向けてこんな山道を歩きます。依然として細かい雪が降り続いています。
山道をかなり下ってきたところで、それまでの雪が雨に変わってきました。たどり着いた舗装道路の脇に東屋があり、こんな標識が立っていました。ここが大野峠になるようです。
この頃は、だいぶ天候が回復して雨脚も弱まってきました。赤谷の集落に向けて脚を進めると、スギ林の中にミミガタテンナンショウが一株だけ咲いていました。
下山途中の杉林の中に咲いていたアケボノスミレです。
こんな山道を赤谷の集落に向けて下山していきます。
途中にエイザンスミレも花を咲かせていました。葉の形が独特ですから、すぐに識別ができます。
道祖神もありました。
大きな岩の脇を抜けて、登山道は赤谷の集落目指して下っていきます。
さて、このミミガタテンナンショウは、その周辺にたくさんのヒトリシズカの花を従えていました。
かなり下ってきたところで、谷川沿いにこのキケマンが咲いていました。
こちらは、葉の表面が雨でぬれているマルバコンロンソウです。可愛らしい白色の花が総状に咲いています。
こちらもキケマンの花です。下山途中はスギ林が続き、あまり山野草を目にすることがありませんでしたが、ここにきてたくさんの花が目につくようになりました。
茶畑の向こうに見えるのが赤谷の集落です。ここまで来れば、芦ヶ久保の駅まであと2キロほどで到着することができます。相変わらず雨が続く天候でしたが、終点が見えてきたことで少し元気が出てきました。
この翌日、東北地方では4月としては記録的な積雪となったようです。
今回は天気予報に従い、晴れていた午前中に山の花道を歩いてきたことが大正解で、たくさんの山野草をゆっくりと観察することができました。午後からは雪と雨に降り込められましたが、これもまた思い出深い山歩きとなりました。